神は存在するのか?
今回は、科学的・歴史的観点から神がいないことを説明します
「魂がありえないこと」「宗教の歴史的起源」「人間中心思想の恣意性」「そして現実世界における不条理の存在」という4つの根拠を基にしています
ただし、信仰自体を否定せず、むしろ信仰の在り方にも焦点を当てつつ、何より、神がいないからこそ宇宙と人間には神秘さや不思議さがあると思います
私たち人間は、大昔から神を信じてきましたが、科学の発展により、今では神がいないと言える証拠がいくつもあります
今回は、宇宙論から歴史まで、あらゆる根拠をもとに、説明してみます
※本記事は「神の存在を否定する」ものの、「信じている人を蔑む」意図はありません。また、最後にも少し触れる通り、「信仰を押しつける」のも「信仰をやめることを押しつける」のも危険性があると考えています
※こちらは、YouTube動画としても公開しています!⇩
①「魂」は存在しないから
1つ目の根拠は、「魂」の存在です
神にまつわること、例えば、人間の特別さや天国などについては、魂の存在が欠かせません
しかし、考えてみれば、そもそも人間とは何でしょうか?
その答えは現代では簡単です
「天体や空気や木や犬やスマートフォンと同じく、結局のところ、化学物質である」というものです
もう少し言えば、私たち人間は、原子・素粒子の集まりです
私たちはつい、この世界を、「人間と動物」「生物と物」といったように区別してしまいがちですが、人間は何も特別な存在ではなかったのです
宇宙にはダークマターも水素もアメーバもチンパンジーも存在するのに、人間だけが魂を持ち、人間が中心の世界だと考えるのも不自然です
たとえ、人間以外にも魂を持っていると考える人でさえ、たいてい、人間が可愛がる動物にしか魂がないと考えます
つまり、現実では、私たち人間は、魂を信じる習性をたまたま持っており、そもそも、魂があるという証拠は、私たちの想像の中にしかないのです
②宗教に「起源」があるから
2つ目の根拠は、宗教には起源があり、さらに当時の影響を露骨に受けていることです
現在の有名な宗教は、元をたどると2000年前後で生まれているものが多く、宇宙誕生の138億年前とか、人間誕生の30万年前ですらありません
また、他の生物には宗教が確認されていません
歴史をたどると、人間には7万年前以降から宗教的な痕跡が見られ、5000年ほど前の最古の文明では、そうした痕跡がよりはっきりしています
また、例えば、キリスト教は、2000年ほど前にユダヤ教から派生しており、ローマ帝国の政治の影響もあって広まっています
さらに、キリスト教はいくつも分かれているし、聖書は何度も編集されています
何より、宗教は当時の影響を強く受けており、聖典には、男尊女卑の価値観が見受けられるし、奴隷制を前提とし、セクシュアリティには差別的です
たとえば、キリスト教は同性愛を差別し、イスラム教国家は、今でも同性愛を処刑する法律を引きずっています
また、重要な事実であっても当時の人たちは知らないこと、例えば、相対性理論、プレートと地震、抗生物質の仕組みなどは聖典には書かれていません
③「人間が中心」だから
次の根拠は、「人間が中心」であるからです
コーランから新約聖書まで、どの聖典にも、人間へのルールや神の考えがびっしり書かれていますが、これは不自然です
なぜなら、神の関心事が、何百万種類の生物の1種であるホモ・サピエンスを中心としているからです
もっと言えば、現在の宇宙にある、とある小さな岩石惑星の表面(地殻の中でも陸上)の、とある炭素などの塊、つまり、宇宙誕生から138億年目に生まれた地球での1種類の動物に対して、特別に執着するのは不自然なのです
地球は、光の速さで0.042秒で通過できるほど小さいですが、可視範囲の宇宙は、そんな光の速さで何百億年もかかるサイズです
その中で、膨大な物理的、化学的現象が起き続けており、それは今後何兆年後でもずっと続きます
さらに、もしかすると、この宇宙以外にも膨大な数の別の宇宙、あるいは多くの高次元もあるかもしれません(量子論や超ひも理論による仮説)
すると、神が、人間ではなく、せめてエントロピーや他の次元や宇宙にも関心を持つのが自然ですし、人間と同じような感情や価値観を持っているのは不自然なのです
④「不条理」の存在
最後は、「不条理」と宗教の関係です
宗教は、神が人間を気にかけており、信仰が人間に平和をもたらすとしています
しかし、それは現実と矛盾しています
戦争から病気や災害まで、人生の不条理は宗教の信仰にかかわらず発生します
今でも、善良な優しい人が、残虐に殺されたり、自殺に追い込まれたりしています
例えば、イスラエルの戦闘では、親子が生きたまま一緒に焼かれたという、あまりにも悲惨で残酷なことが起きています
血まみれで死亡している赤ん坊も見つかっています
イスラエルには信仰心の厚い人が多いだけでなく、そうした被害者の方たちはとても善良な人たちであったはずです
そして、人口比率で考えた際に、最も大きな戦争は8世紀(安史の乱)、次が13世紀(モンゴル帝国の征服)など、上位の戦争はすべて紀元後であり、およそ主要な宗教が生まれた後です
さらには、近現代では宗教を信じない人が増えていますが、一方で科学・医療が発展していることから、むしろ、人々はより長生きできるようになっています
まとめ
まとめると何が言えるのか?
神を信じる人は、「人間は特別で、神に愛されており、イエスやムハンマドが現れた時期は神の気まぐれ」と考えます
では、科学・歴史による、合理的な代替説明は何か?
それは、人間が30万年前になってようやく誕生し、7万年前になって宗教的な空想を信じ始めてそれが次第に発展し、数千年前には、当時の価値観が反映された主要な宗教が生まれ、政治、教会、文字や印刷などの影響もあり広がったが、近年では科学と矛盾する内容が次々と見つかっていることから信じられなくなってきているということです
神を信じることは悪いことなのか?
ただし、補足をすると、これらの理由から、宗教や神の存在は誤りであるとは言えるものの、必ずしも悪いとは言えません
無宗教の人でも国籍や国家を信じるように、信仰している人にとって宗教は重要です
確かに宗教は対立や偏見を生むこともありますが、それは国籍でも同じであり、さらに、一部の過激派を除けば、多くの信者は平和に協調しており、宗教は人々をつなげるコミュニティの役割も担います
また、宗教を信じていても危ない人はいるけれど、宗教を信じていない人で危ない人もたくさんいるため、「信仰」と「人格や倫理観」は別のカテゴリーだと認識すべきでしょう
大切なのは、「信じるかどうか」よりも、「信じるならどのように信じるか」なのでしょう
神はいなくても、人間が特別でなくてもいいのでは ?
また、最後にもう1つの補足をすると、神がいないことも、人間が特別ではないことも、悪いことではありません
むしろ、人間が多様な生物や物質の一種に過ぎない現実を知る方が謙虚になれるし、世界を正しく知ることにもつながります
そして、こんな広大な宇宙のごく一部に過ぎない、あるいはごく一部を構成しているという現実も、それはそれで、神秘的ではないでしょうか?
【本の紹介】


コメント