【衝撃の事実】日本が平和ではない理由

幸福学(ウェルビーイング)

「日本は平和だ」

戦争のニュースを目の当たりにして、よく聞く言葉です

けれど、私は思います

「現状を見て、そんなにのんきなことが言えるのでしょうか?」

※こちらは、YouTube動画としても公開しています!⇩

実は、日本が平和だという認識は、正しいとも言える一方で、とても危険であるとも言えるのです

たしかに、日本は、「身体的」にはかなり平和です

2019年、世界での平均の殺人による死亡率は0.7%[1] のところ、日本は0.02%[2] であり、ある調査では、日本は世界で6番目に安全でした[3]

殺人による死亡率が0.7%と言えば、ざっと、140人に1人は他殺で亡くなるということですから

知り合いの何人かは殺人で命を落とす計算になります

一方、日本であれば、5000人に1人となり、文字通り桁違いです

私たちが治安の良い国にいるということはよく認識しておきたいものです

私自身の経験としても、治安の悪い国にいた時は、よく不安になり神経もすり減ったものでした

ただ、平和ボケしていられないのが日本の、いや、アメリカやシンガポールなども含む、いくつもの国での現状です

確かに、他殺も多くの人の命を奪います

まして、戦争が起これば、その被害は甚大です。例えば、イスラエル・パレスチナの戦争においては、たった1年間で4万人[4] を超える大勢のパレスチナ人が亡くなっています

その一人ひとりが何歳のどのような人で、そして、どのように亡くなったのかを考えると、非常に悲しくやりきれない気持ちになります

しかし、それでは日本が平和で、みんながただ平穏に暮らせる社会かといえば、そうではないのです

というのも、日本では毎年2万人もの人々が自殺という形で、亡くなってしまっているからです

しかもこれは戦争のように一定の期間で起きるものではなく、日本ではこの悲惨な状態が、統計のある何十年もずっと続いているのです

2023年では、死亡者のうち、およそ75人に1人が自殺で命を落としています[5]

イメージとしては、およそ2クラスに1人が最終的に自殺で亡くなるという計算になります

非常に恐ろしく悲しい状況です

いくら身体的な傷害が原因で亡くなることが少ないとはいえ、その代わりに、精神的に苦しむ人が多く、亡くなる人もそれほどいるというのなら

果たして本当に日本に住むことが平和であるのか、いささか懐疑的です

そのため、「平和=身体的傷害のない状態」という従来のイメージを変え、「平和=身体的・精神的傷害のない状態」と考える必要があると強く思います

現状、精神的な観点が極めて軽視されています

しかし、精神的な傷害が、暴力よりもはるかに人の命を奪うのならば、身体的な被害、つまり他殺や戦争と同じように深刻な問題ととらえなければならないのです

私は、このことをここ数年、ずっと考えてきました

すでに日本は長寿の国で、教育が行き届いていて、経済力にも恵まれています。これには素直に喜び、感謝すべきです

ただし、一方で、日本が、たとえば、仮にさらに経済発展しても、幸福になるとは考えにくいです。実際、過去の幸福度の推移をみるとそれがわかります[6]

衝撃的なことに、日本は、経済的にはたった50年で6倍以上にも豊かになったのに、幸福度は驚くほど変わらなかったのです

そんな国が、どうすればより幸せになれるのか?


実は、そうした難しい課題に対して、幸福学の研究者たちが考察をしています
それから私たちが学ぶことが非常に重要になってくるのかもしれません

ここ数十年で、社会と幸福度についての科学的な観点からの研究が急速に進み、数多くの研究やデータが集まってきました

それらを参照するに、日本は、どうやら外面よりも、内面を変える必要がありそうです

つまり、すでに高い経済力、教育水準、医療などに注力しても幸福度への影響は限定的でしょうし、そもそもこれ以上上げることが現実的かもわかりません

一方、日本は、内面に関するデータを見ると、いくつかの懸念点が見つかるのです

たとえば、日本は、男女平等指数が146カ国中118位です[7]

そして、男女平等指数といった平等性は、幸福度を高めることを示す研究もあるのです[8]

また、他にも幸福度と関連が強いことが研究によって示されているLGBTへの権利もまだまだ限定的です[9]

さらには、日本語は年齢によって言葉と態度を顕著に変えるという癖のある言語であることもストレスに影響しているのかもしれません

同じ発言に対しても、年上からならペコペコして、年下からなら横柄に反応するということも珍しくありません

その点では、自分が、精神的被害の加害者にも被害者にもならないように努める必要があります

つまり、日本社会は、違いへの寛容性や、人間関係の対等性に大きな課題がありそうです。

とはいえ、日本の幸福度には誤解もあります

というのも、よく「日本は幸福度が低い」と誤解されがちですが、実際に調査を見ると、けっしてそうとは言えないのです

幸福度調査を見ると、日本人の幸福度は中の上くらいなので、平均的にはどちらかといえば幸せだと答えているのです

しかし、それは問題がないことを意味しません

現状は、「日本は幸福度が低い」という単純かつ誤ったものではなく、「日本は、絶対的には幸福度が低くないものの、経済的豊かさを考えると低めである」とは言えるのです

このことは、大きくは経済力が変わらないフィンランドやフランスと比べても、そして何より、はるかに経済力が低いコスタリカやメキシコと比べても、日本の方が幸福度が低いことから分かります

そして、そのうえで何よりも大切なことは、「そんな日本の幸福度を上げることは可能であるし、そうするべきだ」ということなのです

そして、そのカギは、さらなる経済発展だけではなく、社会的な思想の変化にあるのです

まとめると、日本は身体的には平和である一方で、精神的な平和に課題を抱えている国です

この現状に対して、「平和=身体的傷害のない状態」という従来のイメージを覆し、幸福度向上には精神面や思想の変化が不可欠であると考えるべきです

思想の変化は簡単にはいかない難しさがありますが、幸福学の研究を参照するに、寛容さや平等さが重要だとわかっています

現代社会は極めて複雑ですが、結局のところ、人間によって社会が成り立っていることに立ち返る必要があるのかもしれません


 [1]Causes of Death – Our World in Data

 [2]令和元年(2019)人口動態統計(確定数)の概況|厚生労働省

 [3]Homicides – Our World in Data

 [4]Reported impact snapshot | Gaza Strip (16 October 2024) | United Nations Office for the Coordination of Humanitarian Affairs – occupied Palestinian territory

 [5]令和5年(2023)人口動態統計(確定数)の概況|厚生労働省

 [6]GDP per capita in constant PPP dollars | Gapminder

Nations | World Database of Happiness

 [7]Global Gender Gap Report 2024 | World Economic Forum

 [8]Audette, A., Lam, S., O’Connor, H., & Radcliff, B. (2018). (E)Quality of Life: A Cross-National Analysis of the Effect of Gender Equality on Life Satisfaction. Journal of Happiness Studies, 1-16. https://doi.org/10.1007/S10902-018-0042-8.

 [9]Berggren, N., Bjørnskov, C., & Nilsson, T. (2017). Do Equal Rights for a Minority Affect General Life Satisfaction?. Journal of Happiness Studies, 19, 1465-1483. https://doi.org/10.1007/S10902-017-9886-6.

ILGA World maps – ILGA World

加藤将馬

【経歴】中途半端な高校から、猛勉強して英語を話せるようになり、大阪大学に入学
【卒業後】ある会社の上司が原因で深刻なうつ病を患う
※YouTube自己紹介動画: https://x.gd/DD6HJ
【現在】
①「一度きりの人生を誰もが幸せに生きられる社会を目指す」を信念に発信中:書籍『自殺大国ニッポン』https://amzn.asia/d/0Hv0AuY
②「世界と人間社会についての学識」をテーマに発信中:『宇宙と人類、138億年ものがたり』https://amzn.asia/d/beq5X9W

加藤将馬をフォローする
幸福学(ウェルビーイング)
シェアする
加藤将馬をフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました